Interview
日本文化普及に係る活動
日本文化と人材育成の共通点とは?
株式会社トップ・ノッチ代表が語ります
『株式会社トップ・ノッチ』では、個人の方向け・企業様向け、それぞれにあったオーダーメイドのコーチングやコンサルティングを提供しているほか、日本文化普及に関わる活動も行っているそうです。
『株式会社トップ・ノッチ』代表取締役 堀田治見さんに詳しく伺いました。
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――『株式会社トップ・ノッチ』では、キャリア育成サービスと共に、日本文化普及に係る活動もなさっていると聞きました。
はい、私は長年人材育成事業を通じて、人の「キャリア」に深く関わってきました。キャリアとは、その人その人個人で違います。一人一人が輝く人生を送れるようサポートしてきましたし、今でもその思いは変わりません。クライアントの「キャリア」に向き合うと同時に、私自身の「キャリア」にも向き合っています。
私のキャリアを通じて何か社会貢献をしたいという気持ちが強くあり、異業種交流会などに積極的に参加してきました。
日本文化普及に関わる活動も、社会貢献の一部として始めたものです。長期間海外で生活してきた経験を生かし、グローバルに活躍する皆さんに日本文化を身近に感じてほしいと思ったのです。
私達は、日本文化をより身近に、たとえば気づけば日常生活の一部になっていた!というように、自然体で文化に触れていけるような活動を心がけています。これには、「NPO法人 蔦くらぶ」との出会いが深く関わっています。
あるとき、私が参加している異業種交流会で「蔦クラブ」代表(当時)の方と出会い、海外生活が長いことや相撲ファンという点で意気投合しました。
「蔦クラブ」は、今や西欧文化よりも遠い存在になってしまった日本の伝統文化や古典芸能を、より身近に、より気軽に楽しむことを目的としたネットワークです。
伝統文化・古典芸能の担い手(文化・芸能の継承者)と受け手(観客)の間に立ち、担い手にはより幅広い層の観客を、受け手にはより多岐にわたる文化・芸能に親しむ機会を、それぞれ提供していました。
私は、長年海外にいたからこそ「一体自分は日本の文化についてどれだけ知っているんだろう」と痛烈に感じていました。
特別な興味がなくても、能や相撲など自国の伝統文化について話せるかで、海外の方との会話やコミュニケーションの深まりは全く違ってくる、そんな実体験を通じて、自国の文化を知っておくことは重要だと思い、蔦クラブの活動に参加するようになりました。残念ながら、代表の方が去年他界され、今は休止状態ですが…
――堀田さんは日本文化の中でも特にお相撲がお好きなんですね。
はい、幼い頃から相撲が身近にあり、気づいたときからファンでした。
相撲は、よくわからない、敷居が高いといわれることもありますが、日本の伝統としてずっと続いてほしいし、もっと身近なものと感じてほしいなと思っています。
――私は相撲に詳しくないのですが、よくニュースで見るのは土俵へ上がった力士同士が勝負をしているところですね。相撲の試合は「取組」というようですが、どのような所に魅力を感じますか?
まずは大相撲について簡単にご説明しますね。
大相撲は年6回、15日間ずつ行われます。
1回の開催のことを「場所」といいます。開催地やスケジュールは以下の通りです。

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01月 初場所(東京)
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03月 大阪場所
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05月 夏場所(東京)
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07月 名古屋場所
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09月 秋場所(東京)
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11月 九州場所(福岡)
各場所15日間、序の口~幕の内まで、毎日朝早くから18時までさまざまな力士の取組が行われます。
各取り組みの流れは、仕切りと呼ばれる儀式から始まります。神聖な場である土俵へ上がったら、土俵を清めるために塩を撒いたり、四股をふんだり、神や相手に対する礼を示すための動作を行います。いざ取組(とりくみ・試合のこと)が始まると、そこは力士と力士が本気でぶつかり合う数秒の戦い。その取組のために、力士たちは日々厳しい稽古を重ね自己研鑽に励み、ちゃんこを食べて体作りをしているのです。
力士が塩をまくところがよくテレビで放送されますが、あれは十両以上の力士がやるもので、幕下以下の塩まきは割愛されています。
取組ごとに個性豊かな力士たちが出てくるので、一つとして同じような取組はないところが面白いですね。
各力士は、一人ひとり異なる強みや技を持っていて、その得意技を持って力士同士がぶつかりあってなされ、勝敗がつく。ほんの数秒ほどの間に さまざまな展開をもたらすところが、私にとって相撲の魅力のひとつだと思っています。
――相撲とキャリアコンサルには共通点がありますか?
そうですね、キャリアコンサルというよりかは人材育成という点で共通点があると思います。
相撲部屋の制度は、まさに人材育成だと思います。親方は、相撲部屋の力士たちを一人前にするため日々稽古をつけています。それは、相撲のテクニックだけでなく、人としての礼儀やマナー、食生活など、相撲部屋の親方が指導することは多岐にわたるでしょう。力士ひとり一人に向き合う姿は、まさにキャリアコーチングというか人材育成そのものですよね。
――なるほど、相撲と人材育成にそのような共通点があるのですね!今後どのようなことをやっていきたいですか?
相撲部屋の力士を育成する親方に対して、私がいままで提供してきたキャリアコーチングに関する知識や長年の海外経験を生かして力になれるのではないかなと感じています。
相撲部屋の親方は、いわば経営者なので、経営者と若手のビジネスマンを繋ぐ異業種交流の場を作ったりできたらいいなと思います。
海外の方にも相撲は人気なので、ただ見るだけでなく、より詳しく感じてもらいたいですね。インバウンドの方々にも、相撲観戦や稽古見学をしてもらえれば、日本のことをより深く知ってもらえる機会になると思います。
それが、最初にお話した「私のキャリアを生かした社会貢献」に繋がっていくのではないかと考えています。
相撲を、ビジネスの側面からも相通じることがみえてくると、相撲をはじめとする日本文化を別世界に感じず、身近な存在としてお互いにいい影響を与え合い高めあっていけるのではないかと思います。
別業界同士がタイアップしたり、協力し合って新しい知見や考え方が生まれる、そんなふうになったらいいですね。
――日本文化、特に相撲に関する堀田さんの思いをたっぷり伺いました。キャリアコーチングと合わせて、今後の『株式会社トップ・ノッチ』の活躍が楽しみですね!